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豊田理事長

獨征(ひとりゆく)
~格好など気にするな、自分で道を切り開ける芯の強い青年であれ~
2011年3月11日14時46分、宮城県沖を震源とするM9.0という観測史上最大の地震が東北地方を襲いました。地震大国と言われる日本に住んでいる我われでさえ今までに経験したことのない大地震、そしてその大地震が引き起こした大津波が甚大な被害をもたらしました。
バブル経済が崩壊し、サブプライムローン問題に端を発した世界同時不況、そしてリーマンショック、失われた20年と言われた景気の低迷期からようやく立ち直りを見せかけている時に起こった未曾有の天災。更には、出口の見えない深刻な原子力発電所の事故、電力供給の問題。混迷を極める政治、経済、社会、金融危機。
今まさに、日本は大きな転換期に差し掛かっています。こんな時代だからこそ、格好など気にせず、自分で道を切り開ける芯の強い人間であろう。JAYCEEならそれができるのです。
【はじめに】~時代の転換期を迎えて~
今までにも時代の中で幾つもの転換期がありました。戦後の復興から高度経済成長期、そしてバブル期、それぞれの転換期を乗り越え日本は世界でもアメリカに続く経済大国になりました。物質的に豊かになり、必要な物は手を伸ばせばどこにでもあり簡単に手に入る、そんな便利な社会になりました。しかし先人は決して自己の欲望のためなんかではなく、ただただ明るい豊かな社会を夢み、信じ、子供たちの未来を案じ、社会のため、国のため、家族のため、会社が大きく発展するため、自己を犠牲にして貢献して生きてきたはずでした。それがいつのころからか自分さえ良ければよいと義務を果たすことよりも権利ばかりを主張する自己中心的な考え方の人間が増え、インターネットなどの情報産業の発達により人の関わりが減ってしまいました。そしていきすぎた個人主義はコミュニティー意識の希薄化を生じました。物質的に豊かな社会、便利な社会となった現在は、はたして先人が夢み、信じた社会なのでしょうか?
社会に目を向けてみると我が子であるにもかかわらず殺めてしまう育児虐待、誰でもいいから殺したかったという無差別殺人、年間3万人を超す自殺者、誰にも看取られる事の無い孤独死、今までには無かったような凄惨で悲惨な事件が後を絶たず、様々な社会問題として山積しています。
今の時代、本当に大事にしていかなければならないものは何かということを失いかけているのではないでしょうか。日本人は元来、利他の精神に溢れ、自分のことよりも他人のことを優先し、公への奉仕や献身を美徳とし、互いを思いやり、助け合って生きていく仲間意識の強い互助の精神溢れる民族でした。そんな元来持っている日本人としてのアイデンティティーが物質的に豊かになった生活の中で、少しずつ忘れられているように感じます。
今、また時代は一つのその大きな転換期を迎え、変わろうとしています。この転換期をどのように乗り越え、どんな社会にしていかなければならないのか、それらを考え、行動するのが、先人が行ってきたように今を生きる我われ若者の責務ではないでしょうか。物質的に恵まれた飽食の時代から豊かな心が育まれる時代へ、利他の精神を持ち、互いを思いやるそんな時代にしていかなければならないと考えます。それぞれがほんの少し周りのことを気づかえばそれは充分に可能なのです。
2012年度は豊かな心を育む社会の創造に向け、志を同じくする仲間と共に青年会議所活動を展開してまいります。
【ふるさとを想う】
山口県の東部に位置する我われのふるさと『いわくに』は、清流錦川に掛かる名勝 錦帯橋をはじめとし、天然記念物の白蛇の生息地、江戸時代 寛永年間より400年続く錦帯橋の鵜飼い、また四季折々、様々な表情を見せる山里、温暖な瀬戸内海の気候の風光明媚な美しいまちです。そして産業においても山口県と広島県をまたぐ石油化学コンビナート、化学繊維産業、紙パルプ産業など日本経済の発展に貢献し、まちとしても成長して来ました。
一方で米軍再編の問題や、それに関わる愛宕山の問題、急速に進む高齢化や人口減少、さらには市財政の多額の負債など『いわくに』ならではの問題も多く抱えています。
そんな中においても、『いわくに』を良くしたい、元気にしたいという市民、活動団体の方はたくさんいます。青年会議所は2007年よりそんな積極的な市民と共に企業を巻き込んだ、地域貢献企業・市民連携型のまちづくり、魅力あるまちづくりを目指しています。
これからは地方の時代と言われ暫く経ちます。魅力のあるまちづくりをしていかなければ地方も生き残ってはいけません。今までのように全てを公に頼るのではなく、民でできることは民で行う、そして、民だけでままならないことは民と公がタッグを組みより良いものを目指す。現在の苦難の時代からなかなか抜け出せない今、誰もが社会の担い手としての自覚を持ち、ボランティア・NPO・地域コミュニティーなどの活動に積極的に参加し、助け合い、心の豊かな社会の創造を目指すことが、特色のあるまちづくり、魅力のあるまちづくりに繋がるのではないでしょうか。その根底にあるのが『自助』、『共助』、『公助』のバランスのとれたまちづくりです。『自助』とは他人に頼らないで個人のことは個人で行う、『共助』とは個人でできないことは地域や仲間たちと行う、『公助』とは個人、地域、仲間でできないことを公が行うことです。I‐フェスタはそんな考えのもと5年間続けてまいりました。このイベントを通して市民、豊かな心を育むためのまちづくりに向け、意見を交わし、自分たちのまちに誇りを持てるようになればすばらしいことだと思います。これからのまちづくりはハードとソフトの両輪を持って取り組むことが不可欠です。
【会員力向上】
失われた20年…。ハードとソフト。いったいどれだけの物が失われてしまったのだろうか。動いているのか、止まっているのか、それさえも錯覚してしまうほど我われはマヒしてしまったのだろうか。以前が幻で今が当たり前になってしまったのだろうか。20年前以降に生まれた子供たちは今が当たり前で、何が失われたのかを知りません。
その間失われたものを取り戻すために、何もして来なかったのでしょうか?? そうではありません、多くの事が複雑に絡み合う現代社会において失った物を取り戻すだけの大きな成果をもたらすほどの特効薬にならなかっただけです。そして残念な事にその間に停滞している我々を尻目に中国をはじめとする新興国は年数%の成長を続け、気付けば日本はデフレスパイラルに陥り、財政赤字は膨らんでいき、今現在も景気低迷期が続いているのです。そのことが、人々から徐々に自信を奪い、あきらめムードが漂う暗い気持ちにさせていったのです。
歴史の中でいくつもの困難といわれる転換期はありました。それを幾度となく乗り越えてきたたくましい日本人はきっかけさえつかむことができれば、本来持つ力を十二分に発揮し、この難局を打破できるのです。
きっかけとは自信です。今、日本に必要なものは自信を取り戻すことです。自信は人々に勇気と元気を与えてくれます。そのためにはまず現状を正確にとらえ、何をしなければならないかを考え、そしてそれを最後まで成し遂げる気力と体力が必要なのです。達成感と充実感が自信に繋がるのです。
今の転換期は日本のみならず世界中で迎えているように感じます。経済においても、軍事においても世界を牽引してきた米国、欧州でさえ、この大きな転換期の中でもがいているように感じます。このような将来に対し不安が渦巻く時代、人々は自分達を希望ある未来へ導いてくれる芯の強いリーダーを求めているのです。
青年会議所は学び舎と言われています。学校ではありません、学び舎なのです。学校がティーチングなら青年会議所はコーチングなのです。活動を通して己を磨き、成長し、社会に出て活躍できる芯の強い青年を多く輩出してきたからです。その活動の一つとして研修事業を行ってきました。研修事業とは自らの立ち位置、座標軸を改めて見直し、自分たちが今何を考えなければならないのか、これからどこに向いていかなければならないのか、そのためには何をしなければならないのかを学ぶものです。その結果、事業を通して自信を付け、いかなる場においてもリーダーシップを発揮できる芯の強い青年を創るのです。この学び舎から巣立った人材が、それぞれの会社に帰った時にいかんなく力を発揮できる人材となり、さらには豊かな心を育む社会の創造を目指し、魅力あるまちをつくる上で大きな役割を占めていくと信じています。青年会議所はそんなパワーある人材を育成します。
【未来を生きる子供たちのtoughな心を養う】
魅力あるまちづくりは、輝ける未来を生きる子供たちの健やかな成長があって成り立つものだと考えます。現代の子供たちを取り巻く環境は、我われが育ってきた環境とは大きく異なります。少子高齢化による子供の数の減少や、複雑な社会情勢による核家族化の増加などにより、地域全体で子供たちの生育を支えてきた社会からそれぞれ個人が子育てを行う社会へと変わり、情報交換をするコミュニケーションの場が少なくなってしまいました。子供たちにとっても町中が遊び場だった我われの時代に比べ、現代の子供たちは防犯上の問題や、安全性の問題で遊び場が少なくなってきたように感じます。そんな環境が彼らから幼少期に成長する過程で自然と学ぶ上下関係、他人を思いやる気持ち、たくましさ、また時には叱られながらも学んだ善悪など、小さなコミュニティーの中で自然と学ぶチャンスを奪っているように感じます。
また、子供たちのわがままを個人の尊重と勘違いし、過保護に育ててしまったことが、道徳心の欠如した生きる力を見出せない弱い子供たちを生み出した大きな要因ではないでしょうか。
子供たちは無限の可能性を秘めた次世代を担う地域の大切な宝なのです。
そんな彼らがこれから大きく成長していく中で様々な苦難、壁を乗り越えなければならない時がくると思います。そんな辛い時、悩んだ時でもそれを乗り越える事のできる気力と体力が必要となります。我われは彼らがどんな時でもくじけず、夢に向かって歯を食いしばる、土俵際で踏ん張りのきくtoughな心を持った子供たちの育成に努めなければなりません。また社会生活を営む上で集団生活は必ず必要となります。社会に出て生きていくためにはコミュニィティーという集団生活の中で我慢強さと連帯感を養うことも大切です。集団生活を通して培う思いやりと助け合いがきずなとなります。強さとは困難に立ち向かう強い心、たくましさとは辛い時に踏ん張る心、やさしさとは人をおもいやる心、弱者を助ける心、人は人でしか磨かれません。子供たちにも是非、子供たちの中で切磋琢磨し、こんな時代だからこそ希望を持って強く、たくましく、育って欲しいと強く願います。
未来を生きる子供たちが、自分に自信を持ち、仲間に思いやりを持てる、そしていざという時に歯をくいしばり、足腰を踏ん張れるそんなtoughな心を持った子供たちを育成することが豊かな社会の創造に繋がるのです。
【真の国際人としての心を育む】
未来を生きる子どもたちの時代は地球市民という一つの大きなコミュニティーの時代かもしれません。そしてその地盤を作るのは、今を生きる我われなのです。
今、様々な分野においてグローバル化という言葉が使われています。特に、経済活動においてはいち早くグローバル化という言葉が使われ、今ではそれが言葉だけでなく我われの生活の中に深く関わりを持つようになってきたと感じます。世界の工場とも言われる中国をはじめとする東アジア周辺諸国には欧米はもとより韓国、台湾、日本からも政府、企業が多額の投資を進めており、そこで作られた物が世界中で使われています。そして、インターネットを使えば、我われは簡単に世界中から欲しい物を購入できます。つまり、我われの生活はすでに世界と密接に繋がっているのです。今までのようにそれぞれの国、県、地域を一つひとつのコミュニティーの単位として考えていたものが、地球規模を一つのコミュニティーの単位として形成するようになってきているということです。
我われJAYCEEは青年経済人としてグローバル化に注視するとともに、併せて今、地球規模で起こっている身近なことから、世界全体で考えなければいけないこと、多くのことに関心を持たなければなりません。
そのためにも改めて青年会議所が長年続けてきた民間レベルでの国際交流、国際貢献についても考えていくことが必要であると感じております。これからは視野を大きく広げ、地球市民として物事をとらえられる人間に成長しなければなりません。それとともに我われが真の国際人としての心を育むためには、まずは自国の歴史、自然、文化、伝統といった土台となるアイデンティティーをしっかりと持たなければなりません。また異文化との交流する上では相手の人柄、培ってきた歴史、文化、伝統も尊重しなければなりません。互いに積極的に理解し合い、相互理解を深める事が大事なのです。真の国際人の心を持つ人材が、グローバル化の時代の中で活躍し、互いに理解しあい深めあったとき豊かな心が育まれる社会の創造に繋がるのです。
【山口ブロック協議会会長輩出LOMとして】
山口ブロック協議会は全国のブロック協議会に先駆けて1964年に誕生しました。誕生以来、約半世紀、長い歴史の中で我われ県内のJAYCEEに多くの学びの場と成長の機会、そして友情を育むチャンスを与えてきました。そんな歴史と伝統のある山口ブロック協議会に2012年度は、岩国青年会議所より2006年度以来、6年ぶり7人目のブロック会長を輩出します。我われはブロック会長輩出LOMとして会長がリーダーシップをいかんなく発揮できるよう会員一同サポートしていかなければなりません。そして、県内13LOMの同志と共に山口ブロック協議会のJAYCEEはもとよりそれぞれの地域に元気と勇気を与えられる協議会であるためにしっかり連携していきたいと考えます。
山口ブロック協議会は日本JC、中国地区協議会の下部組織としても長年その役割を果たしてまいりました。そして、昨年度、日本JCが公益制度改革により公益社団法人格を取得したことにより今後ますます公益性を問われるようになります。
ブロック協議会の先駆者として独自の進化と継承を続けてきた山口ブロック協議会が今後とも我われ山口県内のJAYCEEが成長する場であり、友情を育める場であるためにも会長輩出LOMとしてしっかり支えていきたいと思います。
【おわりに】
“おもしろきこともなき世をおもしろく すみなすものは心なりけり”

これは高杉晋作が詠んだ句に彼の看病をしていた野村望東尼(のむらもとに)が下の句を付けた句です。
どんな時代でもそれをチャンスととらえるか、不幸ととらえるかは自分の心が決めていることです。時代だけでなく、それは仕事においても、ひいては家庭においても、自分を取り巻く環境全てに当てはまると思います。自分は恵まれていない、チャンスがないなどと決めつけているのは、他人ではなく自分自身です。世の中を楽しく未来あるものにするのは、自分自身の心の持ちようだと思います。
この混沌とした今の時代は決してマイナスの状況ではなく、これから我われがどんな心持ちでこの難局を乗り越えて行くかが問われている時代なのです。そしてこんな時代を切り開いていける芯の強い青年が求められているのです。それが変革の能動者たらんとする未知の可能性を秘めたJAYCEEなのです。

2012年度、理事長を務めさせて頂くにあたり、これまで多くの先輩諸氏、仲間に励まされ、勇気づけられたことに感謝すると共に、脈々と受け継いで来られた輝かしい岩国青年会議所の歴史の中の一人であることに誇りを持ち、自らのプライドをかけ、私が担う全責任全てにおいて逃げずに立ち向かい、失敗を恐れず、自らの信念を信じ、率先して行動していくことをお約束致します。